近頃HSP、繊細さんという言葉を耳にすることが増えたと思いますが、「HSC」という言葉もあります。
当ブログをお読みいただいているみなさんは、HSPとHSCの違いはご存じですか?
簡単に言ってしまえば、「HSP気質の子供」のことです。
大人のHSPさんでも生きづらさを抱えている人は多くいらっしゃいますよね。
子供にとっても同じです。
子供にも子供の世界や社会がありますので、生きづらさを感じる子もいるのです。
元HSC、現HSPの私が解説しますね。
HSPやHSCの理解が進むと嬉しいです。
HSCって何?
HSCとはHighly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の略です。
HSPがHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略ですので、HSPの子供版ということですね。
HSPと同様に、とても繊細で感受性が高い子供を表す言葉です。
昔は、HSCと発達障害が混同されていたこともあるそうです。
現在は両者は全くの別物であるとされています。
HSPと発達障害の違いについて気になる人は、こちらの記事からどうぞ。
参考:繊細で敏感な子供「HSC」とは? 発達障害との違いは?|medicommi
HSCの特徴
では、具体的な特徴を解説していきます。
HSC4つの特徴
特徴や傾向は大人のHSPと変わらないので、HSCの特徴も「DOSE」で表されます。
DOSEとはエレイン・アーロン博士が提唱した、HSPの人の4つの特徴です。
- D:情報を深く処理する
- O:過剰に刺激を受けやすい
- E:情動反応が強く、共感力が高い
- S:些細な刺激を察知する
「HSP」という言葉を始めて世に出したのも、エレイン・アーロン博士なんですよ。
HSPについて詳しくまとめた記事がありますので、併せてお読みください。
HSCを判定する23の質問
エレイン・アーロン博士著の「ひといちばい敏感な子」の中に、HSCのチェックリストが載っています。
以下そのリストを抜粋しています。
- すぐにびっくりする
- 服の布地がチクチクしたり、縫い目が肌に当たるのをいやがる
- 驚かされるのが苦手だ
- しつけは、強い罰より優しい注意の方が効果的
- 親の心を読む
- 年齢の割に難しい言葉を使う
- いつもと違う臭いに気づく
- ユーモアのセンスがある
- 直観力に優れている
- 興奮した後は、なかなか寝付けない
- 大きな変化にうまく対応できない
- たくさんのことを質問する
- 服がぬれたり、砂がついたりすると着替えたがる
- 完璧主義である
- 誰かがつらい思いをしていることに気づく
- 静かに遊ぶのを好む
- 考えさせられる深い質問をする
- 痛みに敏感である
- うるさい場所を嫌がる
- 細かいこと(物の移動、人の外見の変化)に気づく
- 石橋をたたいてわたる
- 人前で発表するときは、知っている人だけのほうがうまくいく
- 物事を深く考える
このリストの中に当てはまるものが13個以上あると、その子はHSCであると言えるそうです。
ただ、当てはまるものが1~2個の場合でも、その度合いが極端に強ければ、HSCの可能性ありとの判断になります。
ちなみに我が家では、上の子が私と似てるところがあるのですが、このチェックリスト的にはHSCではなさそうでした。
HSC子育てで注意すること5つ
繊細なHSCのお子さんを持つ親御さんが、お子さんと接する時の注意点を挙げます。
子供の様子をよく観察する
HSCの子供は、自分の気持ちや考えを表に出すことが少ないです。
よく考えるので、判断したり、気持ちが固まるまでに時間がかかります。
また、自分の意見を言うことで、親など相手がどう思うか、反応するかなども考えてしまい、なかなか言い出せないこともあります。
何が苦手なのか得意なのか、今何を思っているのか、などを観察しましょう。
子供の頃、母に「何が食べたい?」と聞かれ、自分の意見を言うと「また~?」などと言われ、自分が食べたいものさえなかなか言い出せなくなっていました。
急かさない
さきほども説明しましたが、HSCは気持ちや考えを、何も考えずに表に出すことが苦手です。
なので時間がかかります。
たとえば「何食べたい?」「何したい?」「どれにする?」と聞くと、選択肢が多過ぎて、決めるのに時間がかかるでしょう。
気持ちが決まるまで待っていてあげたいところですが、親御さんは忙しいことが多いでしょうから、「早くしてよ!!」「どれよ!?」「もういい」などと言ってしまうかもしれません。
ですが、これらの言葉は、HSCのお子さんを深く傷つけてしまいます。
萎縮してしまい、ますます自分の意見が言えなくなります。
どうしても早く決めてほしい時は、2択で提示すると決めやすいかもです。
疲れていたら早めに休ませる
HSP同様、HSCも人や環境から多くのストレスを受けるため、非常に疲れやすいです。
小学校に入学するなどの大きな環境の変化、高学年になると、授業内容が難しなる上に、人間関係も複雑になっていきます。
これって結構HSCには過酷な環境です。
お子さんが疲れていそうだったら、早めに休ませてあげましょう。
こちらの記事が参考になりますので、良かったらどうぞ。
価値観を押し付けない
親がHSPでない場合、HSCのお子さんの考え方などが独特で、理解できないこともあるでしょう。
しかし、HSCには苦手なことがあり、感覚が独特なのも、生まれもった気質なのでどうにもなりません。
理解・共感が難しくても「そういう感じ方をするんだ」と受け止めてあげると、お子さんは安心しますよ。
HSC・HSPにとって共感されない、理解されないことは、全てを否定されたように感じてしまいます。
1番の理解者であることを示す
HSCの子は「自分はHSCだ」と理解している子はほぼいないでしょう。
「理由は分からないけど、何か周りと違うな。」と感じていると思います。
私もHSPなので言えるのですが、恐らく進級・進学するほど、周りとの違いを肌で感じ、親には辛いことを話さなくなります。
なので、お子さんが小さいうちから、たとえ全てが理解できなくても「いつでも話を聞くからね。」「絶対味方でいるからね。」と伝え続けてあげましょう。
HSCのお子さんに伝えたいこと5つ
お子さんがHSCの場合、ママ・パパから伝えてほしいなと思うことを紹介します。
HSCは悪いことではない
HSCは病気でも障害でもありません。
生まれ持った気質です。
簡単に言えば、性格のようなものですかね。
他の人より、周囲の情報を敏感に察知し、周りの人の感情を感じ取りやすく、物事を深く考えるだけです。
もしかしたら、HSCの特性により苦労したりツライと感じてしまったりする時が結構あるかもしれません。
ですが、「HSCの特性は悪いものではない、あなたはあなたのままでいい」ということを伝えてあげると、お子さんは安心感を得られるでしょう。
学校など集団の場でツライ思いをするかもしれないこと
繊細であるがゆえに、学校などの集団の場でツライ思いをしやすいかもしれないことを事前に教えてあげた方が良いでしょう。
いざ、学校に行ってから周囲との違いに戸惑ったり、友人関係に悩んだりと、一人で抱え込んでしまう可能性があるからです。
「HSCだから、繊細なところがあるから、必要以上に気にしてしまうんだ」と知っていれば、気持ちが軽くなる部分もあるでしょう。
学校など集団の場で疲れやすいこと
周囲の環境や人から、自動的に情報を受け取ってしまうために疲れやすいことを伝えましょう。
集団生活の場だと、自分のペースで過ごすことも、一人で過ごすこと(情報の遮断)も難しく、HSCは疲れてしまいます。
HSCの気質的に疲れやすい、一人で充電する時間が必要であることを伝えておくと、お子さん自身でも可能な範囲での対策が取りやすくなります。
疲れやすい理由が分からないと「何だか疲れやすいんだよな」から「何だか学校に行くのが嫌だな…」となる可能性もありますものね。
自分の直感を大切にする
お子さんには、自分の直感を大切にと教えてください。
HSCの特性を理解していない先生や周囲の人から、的外れな指摘や無用な助言などをもらうことがあるかもしれません。
また、世の中にはSNSや書籍、ネットなどたくさんの情報が溢れています。
不安なことを少しでも解決するために、世の中の情報に救いを求めることもあるかもしれません。
ですが、一番大事なのはお子さん本人の直感です。
お子さんが、どう感じ、何を考えたかが大事なのです。
敏感に情報をキャッチし、深く考えるHSCのお子さんの直感ですから。その直感、あなどれませんよ。
自他の境界を明確にした方が良い
HSCのお子さんの中には、共感力が高く、相手の感情や思いを手に取るように分かってしまう子もいるでしょう。
HSCの特性上、感情移入もしやすく、自分の感情・思考なのか、相手の感情・思考なのか分からなくなってしまう場合があります。
気持ちが分かりすぎてしんどい、ネガティブなものまで受け取り過ぎてツラい時は、
「自分と相手は違う人間」
「相手の気持ちを汲み過ぎなくていい」
ということを伝えましょう。
HSCの子なら、ある程度自分本位というか、自分中心に物事を考えるくらいで丁度良いのかもしれませんね。
親のタイプ別HSC子育ての心構え
HSCのお子さんを育てているママ・パパがHSPであるか否かで、子育ての心構えが違いますので、説明します。
もちろん、HSC・HSPであろうがあるまいが、人によって感じ方、考え方などはさまざまである、というのは大前提です。
ママ・パパがHSPか否かによって、ざっくりと「こんな心構えをしておくと、どっしり構えてお子さんと向き合えそうだ」という意味合いで紹介します。
親が非HSPの場合
お子さんがHSCで親が非HSPの場合、お子さんの情報や感覚の受け取り方が理解できないことが多々あるかもしれません。
HSCのお子さんは、敏感に大人や友達など周囲の人の顔色を察知し、自分の気持ちを抑え込んでしまったり、圧倒されたりしてしまうんですよね。
そのため「引っ込み思案」「大人しい」「自分の意見はないの!?」などと感じることもあるでしょう。
お子さんを理解できなくてイライラしたり、もどかしく感じたりすることもあるかと思います。
ですが、どれもHSCの特性であり、生まれ持っての気質です。
自分の意見を言えなかったとしても、実は本人の中ではものすごく考えられていたり、周りを良く見て、色んなことを理解していたりするのです。
私自身もそうでしたが、無理矢理意見を求められたり、急かされたりすると、ますます言えなくなってしまいます。
先ほど紹介したように、HSCには「DOSE」4つの特徴があることを知っておくと、ゆとりを持ってお子さんに接することができます。
必要以上に構えることはありませんが、「これもHSCの特徴か~」と軽く受け止めてもらえると、親子共々追い詰められずに済むかなぁと思います。
親がHSPの場合
お子さんがHSCで親もHSPの場合、似たような世界で生きているので理解しやすいことも多いと思われます。
親自身も子供の頃はHSCだったので、苦労したこと辛かったことも知っているので、解決方法や対策を伝授することもできるかもしれませんね。
しかし、ここで注意したいのが、親子で似たような感性を持っていたとしても、親と子は別の人間です。
HSP(HSC)の特性として、共感力が高く、自他の境界が薄いところがありますよね。
たとえ感性や受け取り方が似ているとしても、「同じ」ではありません。
同じHSPでも、細かく分けると4つのタイプがありますしね。
また当然ながら、一人一人個性や思考は違うものです。
HSP・HSCだと自分の意見を直接言わず、察して決めつけてしまうところはありませんか?
「きっと子供も●●●と感じているだろう」と推測で押し付けてしまわないように注意しましょう。
同じ気質だからこそ分かり合える部分もたくさんありますので、良いコミュニケーションを心がけたいですよね。
HSPの4つのタイプについて、詳しく知りたい人はこちらの記事からどうぞ。
HSCのお子さんを持つ親におすすめの本5選
HSCのお子さんを持つ親御さんにおすすめの書籍を5つ紹介します。
児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた
作品名 | 児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた |
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著者 | こど看 |
本体価格 | ¥1,540 |
出版社 | KADOKAWA |
出版年月日 | 2023.11.22 |
ページ数 | 192ページ |
児童精神科に努める看護師パパが書いた本です。
HSCは病気ではないとは言え、その繊細さから、心が疲れてしまう子も少なくありません。
そんな心が傷つき、疲れてしまったお子さんたちと長く接しているこど看さんだからこその視点で書かれています。
自傷行為や自殺願望への対処法など重い内容も書かれているため、思春期のHSCのお子さんを持つママ・パパの強い味方となる一冊でしょう。
HSCの子育てハッピーアドバイス
作品名 | HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子 |
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著者 | 明橋 大二 |
本体価格 | ¥1,320 |
出版社 | 一万年堂出版 |
出版年月日 | 2018.6.19 |
ページ数 | 232ページ |
心療内科医の明橋 大二先生と太田 知子さんのイラストで作成された本です。
フルカラーでイラストや漫画のページが多く、サクサク読めちゃう一冊です。
読書が苦手な人にもおすすめですね!!
HSCの基本情報から、学校で困った時の対処法なども載っています。
まだまだHSCが世の中に浸透しておらず、発達障害と混同されてしまうことが多いようですが、お子さんが学校生活で困っているママ・パパの勇気と希望になっている本です。
子どもの敏感さに困ったら読む本
作品名 | 子どもの敏感さに困ったら読む本 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 |
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著者 | 長沼 睦雄 |
本体価格 | ¥1,430 |
出版社 | 誠文堂新光社 |
出版年月日 | 2017.6.15 |
ページ数 | 240ページ |
児童精神科医の長沼 睦雄先生が書かれた本です。
長沼先生は、日本ではまだまだ数の少ない、HSPの臨床医だそうです。
HSCの感受性や直感力などの特性は、才能だ。
上手に伸ばせば芸術、クリエイティブな仕事、人の心を扱う仕事、研究の仕事などで力を発揮し、世の中に貢献する大きな力となる。
とおっしゃっています。
お子さんのHSCの特性を治さず伸ばしたいママ・パパにおすすめです。
敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本
作品名 | 敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本 |
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著者 | 長岡 真意子 |
本体価格 | ¥1,430 |
出版社 | 秀和システム |
出版年月日 | 2019.6.21 |
ページ数 | 195ページ |
5人の敏感っ子(HCC)を育てるママの長岡 真意子さんが書いた本です。
5人育児の経験と、多数の文献等で勉強した結晶の一冊です。
5人を育てるだけでも想像を絶する大変さかと思いますが、全員HSCとは!!
ママの視点で書かれているため、同じくHSCを育てるママにとっては共感できる部分が多いかと思います。
HSCの理解を深め、伸ばしていく育児方法や、ママが楽になるセルフケアも載っているので、ママにこそよんでほしい一冊となっています。
ひといちばい敏感な子
作品名 | The Highly Sensitive Child ひといちばい敏感な子 |
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著者 | エレイン・N・アーロン |
本体価格 | ¥2,090 |
出版社 | 青春出版社 |
出版年月日 | 2015.2.21 |
ページ数 | 448ページ |
HSPという名称を世に提唱した、HSPの第一人者、エレイン・N・アーロン博士が書いた本です。
エレイン博士はカナダ・ヨーク大学で臨床心理学の修士号を取得しています。
さらに翻訳は、先ほど紹介した「HSCの子育てハッピーアドバイス」を書いた、明橋 大二先生なんですよ。
HSCは発達障害と混同されやすいですが、発達障害ではありません。
家庭や学校などで間違った対応をして、なかなか改善・好転しないことに苦しむ親子が多いのです。
そんなHSCの子育てで起こりうる困難の解決策なども紹介されています。
文字数、ページ数が多く読みごたえがありますが、生まれてから自立するまでの発達段階毎に分けてまとめられてもいますので、小さなお子さんがいるママ・パパにおすすめしたい一冊です。
まとめ
HSCの特徴やHSCの子を育てる時の注意点をまとめました。
繊細なお子さんは、多くを語らなくても、たくさんの思考を重ね、思いを抱えています。
できる限り、急かさず、否定せず、受け止めてあげてほしいなと思います。
HSCのお子さんが、安心して過ごすためには、親御さんの温かい愛情が必要不可欠です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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