芸能人のカミングアウトやメディアの特集などで、「HSP」や「発達障害」の認知度が一気に上がりましたね。
「HSP」も「発達障害」も聞いたたことがあるという人は多いと思いますが、どんなものなのか詳しく正確に知っている人は、まだまだ少ないのではないでしょうか。
HSPに興味を持ってくれた人や、もしかしたら自分もHSPではないかと思っている人は、ぜひ、最後までお読みください。
HSPと発達障害は違うの?
HSPと発達障害は全くの別物です。
簡単に言うと、以下のように区別されています。
HSP:生まれながらに高度な感覚処理や感受性が備わっている
発達障害:生まれつき脳に機能障害がある
HSPは心理学分野の概念にあたるため、診断名ではありません。一方、発達障害は「障害」の診断名であり、国のサポートなども受けられます。
HSPと発達障害が全くの別物であることはご理解いただけたかと思いますが、両者とも生きづらさを抱えやすいというところで、混同されやすいところもあるのでしょう。
もう少し詳しく説明していきますね。
HSPって何?
HSPとはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略です。
日本語訳では「とても繊細な人」とされています。
世間的には「繊細さん」「生きづらい人」と言われることも多いですね。
生まれつき視覚や聴覚などの感覚が過敏で、良くも悪くも、周囲の状況から非常に多くの情報を得てしまいます。
「HSP」は心理学で使われている言葉であり、病名や診断名ではありません。
また、人口の20%、つまり5人に1人がHSPであると言われています。
HSPについて詳しくしりたい人は、こちらの記事からどうぞ。
発達障害って何?
厚労省では、発達障害を以下のように定義しています。
「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
引用元:発達障害者支援法|厚生労働省
簡単に言うと、発達障害にはいくつかの種類があって、どれも幼い頃から症状・特性が見られると定義されています。
主な発達障害の種類を表にまとめました。
種類 | 主な特性 |
---|---|
自閉スペクトラム症 | 社会性が乏しい、コミュニケーションが苦手、 言葉の遅れ、こだわりが強い、 興味関心が狭い、相手の気持ちを汲めない、など |
注意欠如多動症 | 忘れっぽい、落ち着きがない、 集中できない、衝動的、など |
学習障害 | 学習に必要な能力の一部が極端に苦手 (聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力など) |
チック症 | 体の一部が勝手に素早く動く、 意図せず声が出る (まばたきや咳払いなど) |
吃音 | 話す時にひどく噛む、音を繰り返す、 音が伸びる、なかなか発音できない、など (様々な症状がある。) |
参考:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス
一見、HSPと発達障害はあまり似ていないようにも思えますが、自閉スペクトラム症の症状がなんとなくHSPにも通ずるところがありそうですよね。
発達障害の特性でHSPと似ているのは?
HSPと発達障害、主に自閉スペクトラム症の共通点を具体例を挙げて説明していきますね。
具体例①人間関係でのつまずき
HSPと自閉スペクトラム症の人は人間関係でストレスを感じやすい、つまずきやすい点が共通点と言えるでしょう。
一言で「人間関係のつまずき」と言えますが、実態は違いがあります。
HSP:相手の気持ちを過剰に汲み過ぎたり、仕草などから感情を深読みし過ぎたりすることでストレスを感じたり、苦手意識を持ったりする。
自閉スペクトラム症:興味関心が狭く、他者に興味を持てない。空気を読むなど、察する能力が低い。「相手の立場になって考える」などが想像できない。
HSPだと、相手の仕草や表情で「今の話つまらなかったかな!?」「何か悪いこと言ったかな!?」とか、脳内1人反省会が繰り広げられます。
ネガティブにどんどん考えて、次第に話すのが恐くなったりするんですよね。
どちらも人間関係の問題ではあるのですが、HSPは「考えすぎ」、発達障害は「分からない」というところが大きな違いです。
HSPと人間関係についての記事は、こちらで詳しく紹介しています。
具体例②感覚過敏
HSPの人と自閉スペクトラム症の人は、感覚過敏であるところも共通点に挙げられます。
HSP:感覚(五感)が敏感な場合も勿論ある、人の話声や音が気になりすぎたり、見たものを深読みして、深掘りして精神的なダメージを受けたりもする。
自閉スペクトラム症:特定の音や感触、視覚に入る光などに過剰反応してしまう。
他人のヒソヒソ話が、「私の悪口いわれてる!?」と勝手に深読みしてしまうことも多々あります。
HSPと感覚刺激についての記事は、こちらで詳しく紹介しています。
具体例③こだわり
HSPの人も自閉スペクトラム症の人も、こだわりの強さが見られることがあります。
HSP:感情や感覚から受ける影響が大きく、それにより好みがはっきりとする傾向がある。また、HSP特有の深掘りで、ますますこだわりが強いと思われている可能性もある。
自閉スペクトラム症:興味関心が狭く、一つのことにこだわってしまうことが多く見られる。こだわりの理由は人により違うそうだが、白か黒、0か100と極端になるケースが多い。
手帳や本革製品にこだわってしまうのは、HSPが絡んでいるのかしら?
参考:HSPと発達障害の違い|Mental Support AXIA
具体例④環境適応
新しい環境でストレスを受けやすいのは、HSPも発達障害も共通しています。
HSP:情報処理能力が高すぎて、過剰に自分を適応させようとしてしまい、疲れ果てる。
発達障害:環境に上手に適応できないことから問題を起こしてしまう。
たとえば発達障害の子だと、小学校で先生の話を聞く時なのに、ずっと消しカスをこねていたり、席に座っていられず、フラフラ出歩いてしまったりなどです。
まとめ
この記事ではHSPと発達障害の違いや共通点を、具体例を示しながら紹介しました。
HSPは病気ではありません。生まれつき情報処理能力が高く、感覚や対人関係などで過敏に反応してしまう気質である、ということです。
一方、発達障害は生まれつき脳の機能障害があり、「障害」として診断され、国や自治体からのサポートも受けられます。
両者は似て非なるものですが、人間関係や環境からの刺激、個人の特性などで共通しているところがあるのも事実です。
それぞれを細かく見ていくと、問題になる理由に違いはありますが、当事者は生きづらさを感じやすいことは同じです。
自分がHSPなのか、発達障害なのか気になる場合は、ネットにはセルフ診断がたくさん出回っています。お試しでやってみるのも良いかと思います。
深く思い悩んでいる時は、心療内科などの受診をおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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