今年も夏がやってきましたね。
あなたのお子さんは、スポ少で元気に活動していますか?
この季節に心配なことと言えば「熱中症」です。
昔より話題に上がることが多くなった熱中症、既に万全な対策をとられているご家庭もあるかと思います。
しかし、まだまだ不安の残るママさん、パパさんもおられるでしょう。
医療系国家資格を持ち、現役医療福祉従事者の私が解説します。
よろしくお願いします。
スポ少に興味あるけど尻込みしている人は、こちらの記事もご参照ください。
熱中症とは
「熱中症」は毎年ニュースにも取り上げられるので、ご存じの人も多いと思いますが、改めておさらいしてみましょう。
厚労省の熱中症情報サイトでは、以下のように定義しています。
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
引用元:熱中症予防のための情報・資料サイト|厚生労働省
また、日本スポーツ協会(JSPO)によると、熱中症は症状により4つのタイプに分けられるそうです。
- 熱失神
- 熱けいれん
- 熱疲労
- 熱射病
この4つのタイプの中で、スポーツにより主に発症する危険があるのは「熱疲労」と「熱射病」です。
参考:熱中症を防ごう|JSPO
熱中症の症状
熱中症4つのタイプの症状を、表にまとめました。
熱失神 | めまい、一過性の意識消失 |
熱けいれん | 筋けいれん |
熱疲労 | 脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気 |
熱射病 | 意識障害(応答が鈍い、おかしな行動)→昏睡状態→多臓器障害→命の危険あり |
参考:熱中症の病型|JSPO
みなさん足がつったことありますか?あれも一種の筋けいれんです。
熱中症になる原因
熱中症になってしまう原因って何だと思いますか?
日光や気温によって体温が上昇してしまうから
です。
思ったとおりでしたか?
人の体は、体温を一定に保とうとする働きがあります。
日光や気温などで体温が上がってしまいそうな時は
- 体の表面に近い細い血管を広げて血流量を増やし、体内の熱を逃す
- 発汗量を増やし、蒸発する時に熱を逃がす(気化熱)
こんな働きをします。
その結果、
- 皮膚血管の拡張(表面に近い血管が開く)
- 体内の水分量の低下
- 体内のミネラルバランスの崩れ
などから、熱中症になってしまいます。
熱中症アラートの活用
厚労省では熱中症予防情報サイトを取り扱っています。
指定暑熱施設(クーリングシェア)や熱中症警戒アラートのメール配信サービスなどを行っています。
ほぼリアルタイムでの、全国の暑さ指数なども掲載されているので、スポ少活動の日はチェックすると良いでしょう。
熱中症警戒アラートなどのメール配信サービスについて、公式サイトのリンクを貼っておきますね。
ちなみにスポ少野球では、気温35℃を超える時は活動を中止するよう通達が来ました。
試合はやって良いそうですが…
熱中症になった時の対処方法は?
熱中症になってしまった人には、以下の対処方法を行いましょう。
- 体を冷やす
- 涼しい場所への避難
- 水分や塩分の補給
ただし、返答が鈍い、意識がもうろうとしているなど、意識障害がある場合は即、救急車を呼びましょう。
一つずつ、詳しく説明していきますね。
体を冷やす
氷などで体を冷やします。大きな血管が通っている首、わきの下、足の付け根を冷やすと効果的ですよ。
ただし、熱射病が疑われる時は、全身を氷水に浸す勢いで冷やす必要があります。詳しく知りたい人は「熱射病が疑われる場合の身体冷却|JSPO」を参照してください。
涼しい場所
日陰など、とにかく直射日光が当たらない涼しい場所に避難させます。風通しが良いのが理想ですが、うちわで扇ぐのも良いでしょう。
涼しい場所で楽な姿勢で横になれるようにします。
めまいや一過性の意識消失があった場合:仰向けで足を高めにする
吐き気がある場合:横向きの方が良い
我が家の場合は野球なので、ユニフォームのベルトを外したり、インしているトップスを出してあげたり、体の締め付けを取り除いてあげます。
水分や塩分の補給
スポーツドリンクや塩分補給食品などを摂らせます。
自力で飲めれば良いのですが、吐いて飲めない場合は、かなり危険な状態です。
熱中症対策グッズ
夏のスポ少で重宝する、熱中症対策グッズを紹介します。
アイスタオル
クールタオルとも呼ばれていますね。水に濡らすとヒンヤリするタオルです。軽くてコンパクトなので、うちの団でも、夏はみんな持ってきています。
うちの団では、大きなクーラーボックスの中に氷水を入れ、その中に団員のアイスタオルを入れて使用しています。
アイスタオル用のクーラーボックスは、それぞれの家庭で氷を持ち寄り、練習時に母たちで準備しています。1日練習の日は、昼に水を替えたり替えなかったり…(笑)氷の追加は必須です。
うちの団では特に当番を決めずに、送迎や弁当を届けに来た母でやっています。
氷嚢(ひょうのう)
アイスタオルより冷たさが持続して、冷却効果抜群です。
ホームセンターや100均などでも売っているので、手に入れやすいです。
氷と水を入れるだけで使えますが、洗って干さないと清潔に保てないのが、ちょっとネックです。
形状的に中が乾きにくいんですよね。
ピッチャーやキャッチャーの子の家庭は、個人持ちで準備していることが多いです。
ハンディーファン
携帯用の小さい扇風機があると便利です。
アイスタオル単体だと正直すぐ冷たくなくなってしまいますが、ハンディーファンで風を当てながら使うと、結構涼しいです。
去年はキャッチャーをすることが多かったので、購入しました。
外気温35℃以上の時は、ハンディファンを使用する際に注意することがあります。
外気温が高いと、ハンディファンからの送風も熱風になります。
体温より高い風を首などの太い血管が通っているところに当て続けると、温まった血液が全身を巡ってしまいます。
体温をさらに上げ、熱中症になるリスクも高めてしまうため、注意しましょう。
対策としては、濡れタオルやアイスタオルを首に巻いて使用、またはミストと併用するなどがあります。
参考:ハンディファンは危険?安全な暑さ対策のコツ・正しい使い方|All Aboute健康・医療
冷却スプレー
主に使用するのはデッドボールを食らった時ですが、体を冷やしたい時にいつでも使えます。
団の救急箱の中に常備されています。
夏のスポ少にあると便利なグッズ
熱中症対策以外にも、夏の活動に重宝するグッズを紹介します。
小さなクーラーボックス
子供でも軽く持てる、小さなクーラーボックスがあると重宝します。我が家では7L(約30×27×22cm)のものを持っています。
- 1日練習だけど、お昼にどうしても弁当を届けられない時
- 氷を寄付する時
- 試合のお供に凍らせたゼリー飲料を持たせる時
こんな時に大活躍です。
サングラス
子供用のスポーツサングラスを買いました。
野球は屋外なので、紫外線をガンガンに浴びています。
息子は紫外線に弱いのか、練習が終わると目が真っ赤になっていました。
かゆみなどはないのですが、ダメージを受けていることには違いないので、監督に許可をもらい使用しています。
サングラスを使用すると結構赤みが少なくなったので、ダメージが減ったのかなと思っています。
スポーツドリンクについて
夏のスポーツのお供と言ったら、スポーツドリンクですよね。
しかし、どんな効果があるのか、どんな時に飲んだら良いのか詳しくは知らない人が多いのではないでしょうか?
スポーツドリンクについて、解説していきます。
スポーツドリンクの種類
スポーツドリンクには成分バランスによって2種類に分けられます。
アイソトニック:体液と同じ浸透圧
ハイポトニック:体液よりも低い浸透圧
浸透圧とは、細胞膜の内側と外側で、液体濃度の薄い方から濃い方へ液体が移動し、濃さを一定に保とうとする時の力のことです。
私たちの細胞の中にも周りにも、液体で満たされています。
細胞1つ1つに酸素や栄養を送り届けるために。
体の中の水分って、ミネラルなど色んな成分が溶け込んでいるんですよね。
1つ1つの細胞は膜で覆われているのですが、その膜は小さな穴があり、液体や小さな粒子(成分の一部)は通れるようになっています。
夏場のスポーツは多量に汗をかくので、水分や塩分を失ってしまいます。
水分補給をして細胞のすみずみまで行き渡らせないと、熱中症で体調が悪くなります。
スポーツドリンクの成分
各成分バランスは以下のようになっています。
資料・参考サイトにより、塩分や糖分の配合は多少前後しますので、目安と考えていただければと思います。
スーパーなどでよく見かける商品も一緒に紹介しますね。
アイソトニック | ハイポトニック | |
---|---|---|
糖分 | 4~6% | 2% |
塩分 | 0.1~0.2% | 0.1% |
商品例 | ・ポカリスエット ・アクエリアス ・グリーンダ・カ・ラ ・miuプラススポーツ ・ビタミンウォーター | ・アクエリアスゼロ ・アミノバリュー ・VAAMウォーター ・イオンウォーター ・アミノバイタル |
商品名引用:ハイポトニック飲料とアイソトニック飲料の違い&代表的な商品一覧|アストリション
各スポーツドリンクの長所と短所
メリットとデメリットを表にまとめてみました。
アイソトニック | ハイポトニック | |
---|---|---|
メリット | ・水分、塩分、糖分をバランス良く補給できる | ・多量の発汗で塩分が失われた時に、素早く水分を吸収できる |
デメリット | ・多量の発汗時に飲むと、細胞への水分吸収が遅くなる ・糖質が多く、日常的に飲むのは注意 | ・糖質が低いため、運動時のエネルギー補給には不向き |
参考:運動中は水だけだと逆効果?運動中に適した水分補給とは?|ALPRON
スポーツドリンクは手作りもできる
スポ少をやっていると、毎週毎週スポーツドリンクを消費しますよね。
実は、スポーツドリンクは手作りも可能なんですよ。
資料により分量に幅がありますが、基本的な作り方は以下のとおりです。
水:1L
塩:3g
砂糖:60g
参考資料によって砂糖の量はかなり幅がありました。
今回調べた中では、少なめだと20g、多めだと80gとされていました。
経口補水液に近いもの、味重視で甘めなどの違いかと思われます。
アイソトニックなら基本に近い分量で、ハイポトニックにしたいなら糖分を抑えましょう。
更に経口補水液にしたければ、ハイポトニックに少し塩を加えると作れますよ。
砂糖はお好みではちみつを代用したり、果汁を使用したりすることもできますよ。
基本のレシピを押さえたら、色々アレンジしてみるのも面白そうですよね。
手作りスポーツドリンクを作る際の注意点
家にある材料で簡単に作れますが、注意すべき点もあります。
- 作ったら、なるべく早く飲む(保存には向かない)
- カリウムやマグネシウムなどのミネラルを、市販品と同じように再現するのは困難
- 金属性の容器で作る時は、スポーツドリンク対応か確認
もう少し詳しく説明しますね。
なるべく早く飲む
たとえ衛生面に細心の注意をはらって作ったとしても、思わぬところで雑菌が入ってしまう可能性があります。
また、市販品のように保存料なども入っていません。
手作りしたら、特に夏場はその日のうちに飲み切ってしまった方が安全かと思います。
市販品の再現は困難
レモン汁や果汁を使用することでカリウムやクエン酸などの成分を混ぜることはできます。
しかし、市販品のように、緻密に計算されたバランスにするのは至難の業です。
重度の熱中症症状などが出た場合は、市販のものを使用しましょう。
金属中毒に注意
スポーツドリンク対応でない水筒やヤカンで作るのは絶対にやめましょう。
水筒やヤカンなどから金属(主に銅)が溶け出し、中毒を起こすことがあります。
大量に作る時にヤカンは便利ですが、長年水道水を沸かすのに使用していた場合、水道水に含まれる銅が内側に付着していることがあるそうです。
プラスチックのポットやスポーツドリンク対応の水筒で作るのが良いでしょう。
参考:酸性の飲み物による金属の溶出に伴う中毒にご注下さい~水筒、やかんなど金属製の容器の使用方法について~|新宿区
まとめ
夏のスポ少を乗り切るための、熱中症対策や便利グッズなどを紹介しました。
異常気象とも言える日本の夏ですが、多くのスポ少では公式戦や練習試合など、活動にも熱が入る季節ですよね。
炎天下の校庭、蒸し風呂の体育館などでの練習は心配が尽きないので、しっかり熱中症対策をしましょう。
- めまい、頭痛、吐き気、倦怠感などは熱中症の代表的な症状
- おかしいなと思ったら、すぐに涼しい場所へ避難し、体を冷やし、水分・塩分を取る
この2点は最低限覚えておくと良いかな~と思います。
しっかり対策して、安心安全にスポーツを楽しみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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